電子整準式のレーザー墨出し器は何が違う?ジンバル式と比較して徹底解説

レーザー墨出し器は、現場などの墨出し作業に必要不可欠なツールです。レーザー墨出し器には、電子整準式とジンバル式があり、それぞれ特徴が異なります。
本記事では、電子整準式レーザー墨出し器の概要や仕組み、使用する上での難点、ジンバル式のメリット・デメリットなどを解説します。
目次
レーザー墨出し器の「電子整準式」とは?
レーザー墨出し器の「電子整準式」とは、ソフトウェアを用いてレーザーの精度を保っているのが特徴です。基盤が組み込まれており、整準センサーを利用して水平のレーザーラインを電動で調整し、照射します。
電子整準式の仕組みを、次の項で詳しく紹介します。
電子整準式の仕組み
電子整準式のレーザー墨出し器は、内部に搭載されたセンサーとモーターを使用して、レーザー光を自動的に水平に調整します。
内蔵のセンサーが器具の傾きを検知し、必要に応じてモーターが動作してレーザーを水平状態に保ちます。この調整は非常に精密で、傾きの補正範囲内であれば自動的に行われるため、使用者は特別な調整をする必要がありません。
電子整準式の難点

レーザー墨出し器を設置する場所に傾きがあっても電動で水平を保つ電子整準式は非常に便利な機能ですが、難点としては以下の3つが挙げられます。
- 気温や気圧の変化による影響を受けやすい
- 照射ラインを補整するのに時間がかかる
- 電子整準によるバッテリーの消耗が激しい
ここでは、それぞれの難点について詳しく解説します。
気温や気圧の変化による影響を受けやすい
電子整準式のレーザー墨出し器は、高精度な作業が可能な一方で、気温や気圧の変化に影響を受けやすいという難点があります。
内部に搭載されたセンサーや電子部品は、気温の急激な変化によって動作精度が低下することがあります。また、気圧の変化により光学部品の調整が微妙に狂い、レーザーラインがわずかにずれる場合もあります。
特に屋外作業や寒暖差が激しい環境では、この影響が顕著になることがあるため、定期的なキャリブレーションや動作確認を頻繁に行わなくてはなりません。
照射ラインを補整するのに時間がかかる
照射ラインを補整するのに時間がかかる点も、電子整準式における難点の一つです。電子整準式は照射ラインの補整を行う際、ゆっくりと調整されていきます。
調整が完了するまでに時間がかかり、その間作業を中断せざるを得ません。迅速な作業が求められる現場では、このタイムラグが作業効率の低下につながる可能性があります。
電子整準によるバッテリーの消耗が激しい
電子整準式はその仕組み上、ジンバル式と比べるとバッテリー消耗が激しい傾向にあります。調整などを電気を使用して行うため、常時稼働がバッテリーの持続時間に影響を与えます。
バッテリーが切れてしまうと作業が止まってしまい、作業効率の低下を招きやすいです。特に、長時間の作業や電源供給が難しい現場では大きな問題となることもあります。
ただし、すべての電子整準式がバッテリー消費に問題を抱えているわけではありません。近年では省電力設計が進み、バッテリー持続時間が長い機種も増えてきています。
電子整準式ならではの利点
電子整準式のレーザー墨出し器は、センサーとモーターによる自動整準機能により、使用者が細かい調整を行う必要がなく、初めて使う人でも簡単に正確なラインを得られます。また、設置面の多少の傾きにも対応するため、不安定な環境下でも安定したパフォーマンスを発揮します。
また、センサー内部は精密な構造になっており、機構内にゴミやホコリが入りづらい点もメリットの一つです。埃や粉塵が多い現場でも作業中の故障が発生しにくく、ゴミの侵入による故障に対して強みを持っています。
ただし、定期的なメンテナンスは高額になる傾向にあるため、維持費が高くなりやすい点には注意が必要です。
電子整準式と異なる「ジンバル式」とは?
ジンバル式とは、振り子構造とマグネットによって物理的に精度を確保するのが特徴です。「マグネットダンパー式」「電気制動式」とも呼ばれています。
ここでは、ジンバル式の仕組みやメリット・デメリットについて詳しく紹介します。
ジンバル式の仕組み
ジンバル式は、複数の軸で回転できる振り子とマグネットによる制動システムで構成されています。ジンバルは重力によって常に鉛直方向を維持しようする働きがあり、自然原理で精度を出しているので精度が狂いにくい傾向にあります。
ジンバル式のメリット
ジンバル式のメリットは、そのシンプルな構造にあります。電子部品を多く使用しないので製造コストが抑えられており、製品価格やメンテナンス費用が安価になる傾向があります。
また、温度変化に強い特性を持っているのもジンバル式のメリットの一つです。気温や気圧の変化による影響を受けにくいため、安定した性能を発揮します。
それだけでなく、電子整準式と比べるとバッテリーの消耗も少ないため、長時間の作業でも安心です。
ジンバル式のデメリット
ジンバル式はシンプルで振り子のような構造をしているため、レーザー墨出し器内部へのサビやゴミの付着によってバランスが狂いやすい傾向にあります。それだけでなく、ベアリングの摩耗といった経年劣化による影響を受ける可能性もあります。
ゴミの付着場所によっては、現場で使えなくなってしまうこともあるので注意が必要です。
電子整準式のレーザー墨出し器は振動に強い?
電子整準式レーザー墨出し器は、設置面に多少の傾きがある現場でも自動で水平・垂直を保つ機能が魅力的です。しかし、実際には強い振動や連続的な振動を受けるとセンサーが反応して頻繁に再調整を行うため、作業が中断されることがあります。
電子整準式は微振動には反応しませんが、大きな振動や連続的な振動にはセンサーが反応し続けてしまい整準が終わらないという難点があるため、一概には振動に強いといえません。現場状況に合わせて、ジンバル式との使い分けを検討することをおすすめします。
ジンバル式(マグネットダンパー)がおすすめ
電子整準式とジンバル式を比較した際、おすすめなのはジンバル式です。ジンバル式は電子部品の依存が少ないシンプルな構造をしており、温度や湿気などの影響を受けずに安定したパフォーマンスで作業を進められます。
また、重力による自然な水平調整を利用するため、電子整準式と比べてバッテリー消費も少なく済みます。長時間の作業はもちろんのこと、電源供給が難しい現場でも安心して使用できるでしょう。
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まとめ
電子整準式は、振動の多い現場で自動水平調整機能が役立ちますが、大きな振動だと何度も調整してしまって作業が進まず、停滞してしまう可能性があります。それだけでなく、バッテリー消費も大きい傾向にあるため、現場状況に合わせた選択が必要です。
一方、ジンバル式はシンプルな構造であり、温度変化や湿気に影響されずに安定した性能を発揮します。重力による自然な水平調整を行うのでバッテリー消費も少なく、長時間の作業や電源供給が難しい現場でも活躍します。
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